
本記事では、新井紀子さん著作『AI vs. 教科書 が読めない子どもたち』の概要と私が読んだ感想をまとめます。
※本記事では、本書を読んで私なりに解釈したことを記載してます。
『AI vs. 教科書 が読めない子どもたち』の概要
本書では、AIの動作原理に基づいてAIにできること・できないことを解説しています。また、そこから見えるAIの限界についても言及しています。
後半ではAIが我々の仕事に及ぼす影響、我々がAIに対して優位に立てる領域を紹介しています。
AIの動作
AIの動作は以下に集約されると言えます。
- 確率
- 統計
- 論理
生成AIは過去の膨大なデータをもとに、統計的に傾向を学びます。そして、もっともらしいものを行列計算から確率的に決定します。
ここで重要なのは、AIには
- 膨大で信頼できる教師データが必要
- 文書の意味を理解しているわけではない
という事実です。
例えば、私は毎日生成AIと会話していますが、生成AIは意味をわかっているわけではありません。膨大な教師データをもとに、私への回答に対して、一字ずつどの言葉がもっともらしいかを確率的決定しているのです。
AIの得意・不得意
上記の動作を踏まえるとAIの得意領域・不得意領域は以下のように言えます。
得意
- 潤沢な教師データがある、または教師データを作成できる上で、類似データを抽出すること
- 画像認識、資料の収集、自然な対話など
不得意
- 帰納的に抽象概念を導き、別の具体的な事象に演繹すること
- 推論、文脈理解、読解力
人間がAIに優位に立てる領域
以上のように、AIには不得意な領域があり、それが推論、文脈理解、読解力などです。
これらは抽象化や具体化を行い、比較することが必要であったり、緻密な論理を構築することが必要だからです。
一言で言うならば『読解力』と言えるかもしれません。
日本人の読解力は低下している?
筆者の新井紀子さんは、日本人の読解力に関する調査を行い、点数化することで日本人の読解力の低さに警鐘を鳴らしています。
また、前述のように人間がAIに勝てる領域も読解力が関係しているので、読解力の定着が重要だと考えているそうです。
日本人の読解力が低いことの理由の一つに教育体制があるかもしれません。
例えば、定期テストやレポートなどは学校の成績に関係する「重要」だと考えられるものですが、結局やってることは情報の記憶・抽出と整理です。
これでは論理もへったくれもなく、読解力がつきにくいと考えられます。
他方、海外ではディベートなどのアクティブラーニングと呼ばれる能動的に学ぶことが重要と考えられています。
得た情報を加工して別の概念を導き出したり、ディベートを通して、論理構造を構築することで読解力の獲得が期待できます。

AIと我々の仕事
最後にAIが我々の仕事に及ぼす影響に言及します。
AIやインターネットの普及によって、情報の非対称性は失われつつあります。情報の民主化により、誰もが同じ情報にアクセスでき、またあらゆる情報が得られるからです。
そうすると、市場では価格競争などが激化してしまいます。今までは、情報の非対称性があるがゆえに売上を保ってた企業は淘汰されていきます。
さらに、ホワイトワーカーの職は失われつつあります。なぜなら、やっていることが情報の抽出と整理というAIが得意とする領域だからです。
したがって、レッドオーシャンかつAIの得意とする領域で戦うことは困難をきわめていると言わざるを得ません。
活路はレッドオーシャンではなく、ブルーオーシャンを目指すこととAIが不得意な領域を攻めることです。
たとえば、個別具体的な問題を解決するのには、AIは向いてないです。AIはそのような柔軟性は持ち合わせていません。なぜなら、確率論的にもっともらしさを決めてしまうからです。
あるいは、人間らしさというのもポイントかもしれません。人間のストーリーや人生を価値提供するようなコンテンツはAIには中々できないものです。
前者には、個別具体的な事象をそれぞれ理解する文脈理解が不可欠です。
後者には、AI的な思考に対しての「人間らしさ」という意味を理解する必要があります。そして、それを説明する構成力も必要です。
いずれにせよ読解力が欠かせないでしょう。
最後に私の見解
新井紀子さん著作『AI vs. 教科書 が読めない子どもたち』は2018年頃に出ました。
そして、今私がこの記事を執筆しているのが2026年です。
生成AIの進化は著しいものがあります。
2026年センター試験では、驚異の点数を記録しました。
なんと、Chatgptでは970/1000という異次元の記録をたたき出しました。(LifePrompt株式会社による実験)
【満点9科目!】共通テスト2026を最新版AIに解かせてみた(Chatgpt、Gemini、Claude)(株式会社LifePrompt)
読解力が必要な国語や英語に関しても、9割を超える正答率です。
したがって、読解力でも勝てない時代がやってきているのかもしれません。
なので、共存してAIを使いこなすことがより重要になってきているのではないでしょうか?
まとめ : AI vs. 教科書 が読めない子どもたちを読んで|概要まとめ
本記事では、新井紀子さん著作『AI vs. 教科書 が読めない子どもたち』の概要と私が読んだ感想をまとめました。
結論、AIは読解力に課題があるが、人間(子どもたち)の読解力そのものも衰えてきています。
他方、ホワイトワーカーなどに代表される職では単純作業・定型作業・情報の抽出・整理が多く、その領域では人間はAIに勝てません。
したがって、AIの課題である読解力や人間らしさの領域を鍛えることが重要であると考えられます。
しかし、2026年現在、目まぐるしくAIは進化しています。
そのため、共存してAIを使いこなすことがより重要になってきているのではないでしょうか?
