​水素焙煎とは?UCCが特許を得た「美味しさと脱炭素」を両立する新技術

焙煎 コーヒー

​この記事では、最近セブンイレブンでよく見かける水素焙煎コーヒーの「水素焙煎」について解説します。​

水素を燃料とする仕組みや、なぜ味が良くなるのかというメカニズム、そして水素焙煎ならではのメリットが具体的にわかります。

​本記事を作成するにあたり、「水素焙煎」の特許を取得しているUCC上島珈琲の下記サイトを参考にしています。

UCC公式サイトの水素焙煎特設ページ

本記事は、信頼できる情報源の引用と筆者自身の専門的視点を組み合わせ、できる限り客観性を重視してまとめています。

なお筆者自身、大学では3年間化学を研究していました。
その立場から見ると、コーヒーの「味」は感覚的なものだけでなく、焙煎や抽出で生じる化学反応の結果として説明できると言えます。

​水素焙煎とは?UCCが特許を得た「美味しさと脱炭素」を両立する新技術

​水素焙煎とは、従来の天然ガスの代わりに水素と天然ガスを混焼させてコーヒーを焙煎する革新的な技術です。

UCCは日本初の「水素焙煎コーヒー」の製品化に成功し、関連技術で特許を取得しています。(特許第7618185号)

参考: 7618185| 知財ポータル「IP Force」https://ipforce.jp/patent-jp-P_B1-7618185

水素焙煎の利点

水素焙煎の利点としては以下の2つが挙げられます。

  • 焙煎時のCO2の排出を抑制し、脱炭素に貢献できる
  • 広範囲で緻密な温度管理によりコーヒーの酸味や苦味のバランスを高次に制御できる

以降、それぞれについて説明いたします。

脱炭素に貢献する焙煎法

ecofriendly

焙煎時に水素を燃料として使う利点として、CO2の排出を低減できることがあげられます。

従来法では都市ガスなどが燃料として用いられます。その代表的な成分はメタンCH4です。

メタンが燃焼すると以下のような化学式で反応し、燃焼時にCO2が排出されます。

CH4(メタン) + 2O2(酸素)→ CO2(二酸化炭素) + H2O(水)

他方、水素が燃焼するときは以下の化学式の通り、CO2を排出しません。

H2(水素) + 2O2(酸素) → 2H2O(水)

したがって、水素を燃料として用いることで、CO2の排出を抑制し、脱炭素に貢献できます。

広範囲で緻密な温度調整により、コーヒーをおいしくする

従来法に比べて、水素焙煎は最大燃焼量と最小燃焼量の比(ターンダウン比)が大きいという特徴があります。

つまり、焙煎温度の調整幅が大きいということです。焙煎温度の調整幅が大きいと、コーヒーの味を高い次元で設計することができます。これについて、より詳しく順を追って説明します。

私たちの味覚

まず、味覚の話をします。皆さんが「苦い」「酸味がある」と感じるのはなぜでしょう?それは苦味を感じる成分や酸味を感じる成分が多く含有されているからです。

そして、その苦い成分多めのコーヒーか、酸味の成分多めのコーヒーかは焙煎時間・温度で決まります。

焙煎条件と味

一般に、焙煎の時間が長いあるいは高温で焙煎すると煎りが深くなっていき、以下のような味の傾向になります。

  • 浅煎り:酸味強め、フルーティ、苦味は弱い
  • 中煎り:酸味と苦味のバランス
  • 深煎り:酸味は減り、苦味・コクが強い

要するに、焙煎時間が長かったり、焙煎温度が高いと化学反応が進行し、酸味のある成分から苦味のある成分に生成されていくからです。

詳しく書くと以下の通りです。

  • 糖分が分解・炭化していく→ 甘さが減って、代わりに苦味成分が前に出る
  • クロロゲン酸が分解→ 苦味・渋味の原因物質が増える
  • 焙煎由来のロースト感→ チョコ・ビター・スモーキー系の苦さ

したがって、焙煎温度の調整幅が大きいということは、焙煎の煎り具合の調整幅が大きいということでもあり、引いては苦味や酸味、甘味といったコーヒーの味の調整幅が大きいということです。

よって、水素焙煎は従来法と比べて、コーヒーの味を1つ高い次元に制御できる革新的な技術と言えます。

なぜターンダウン比が従来法よりも大きい?

しかし、なぜ水素を混ぜることでターンダウン比を大きくすることができるのでしょうか?

それは水素が持つ以下の特徴が関係しています。

  • 軽くて拡散性が高い
  • 酸素と容易に反応し、燃焼しやすい

水素は最も軽い気体(分子量2)であるため、空気やメタンなどと比べて軽く、拡散性が高いです。

また、水素と酸素の反応はメタンと酸素の反応よりも容易に起こります。

その理由は少し専門的な話になりますが、反応初期段階のH-H開裂の活性化エネルギーがC-H開裂よりも小さいのでより低温で反応が進行するからです。

つまり、反応しやすく、また拡散性が高いので、自己加熱により連鎖的に反応が進行します。

一言で言うと、水素は燃えやすいということです。

燃えやすいので、より低温領域でも失燃することなく安定して燃焼してくれます。

そのため、最小燃焼量を従来法よりも大きく改善してくれるので、ターンダウン比が大きくなります。(従来では、燃焼量を小さくすると、失燃してしまい、安定的に燃焼できなかった。)

UCCの開発した水素焙煎マシンのここがすごい

分子 イメージ

水素焙煎には難しいこともあります。それは水素は拡散性が高く、燃えやすいので、燃焼量の制御が難しいということです。

しかしながら、上記で紹介したUCCの水素焙煎マシンは以下のようにこの課題を克服しています。

  • 空気や燃料(水素、天然ガス)の供給量を連続的に比例制御できる(単にON, OFFではなく、弁の絶妙な開閉で供給量をコントロールし、燃焼量を管理できる)
  • リアルタイムで温度を監視し、設計した温度プロファイルを目標値として、空気や燃料の供給弁の開閉で温度をフィードバック制御できる
  • バーナ先端の熱風(廃ガス)を酸化剤配管へ戻してバーナに供給される酸素濃度を下げ、燃焼の勢いをマイルドにできる

これらの仕組みにより、困難である水素の反応性の良さを巧みに操っています。

より詳細の装置図や解説は以下からぜひ御覧になってみてください。

参考: 7618185| 知財ポータル「IP Force」https://ipforce.jp/patent-jp-P_B1-7618185

​その他の効果

​他にも水素焙煎には以下のような効果も期待できます。

  • ​​「芯までふっくら」焼き上げる:
    • メカニズム:高温の水蒸気が豆の内部へ素早く浸透。
    • 効果:焼きムラを防ぎ、豆を大きく膨らませます。
  • 有用成分の保持:
    • メカニズム:短時間で効率よく加熱できるため。
    • 効果:ポリフェノール(クロロゲン酸)が多く残ります。

「芯までふっくら」焼き上げる根拠

水素の燃焼はメタンの燃焼は同じ発熱反応ですが、発熱量(低位発熱量)が以下のように異なります。

  • 水素の燃焼・・・H2(水素) + 2O2(酸素) → 2H2O(水) + 241.8 kJ/mol
  • メタンの燃焼・・・CH4(メタン) + 2O2(酸素)→ CO2(二酸化炭素) + H2O(水) + 802.3 kJ/mol

参考文献:NIST (National Institute of Standards and Technology) : Chemistry WebBook, Standard Enthalpy of Combustion

したがって、同じ燃焼量を稼ぐ場合、水素の燃焼の方が約1.66倍多く水蒸気を生成します。その結果、以下の理屈でコーヒー豆を芯まで均等にふっくら焙煎することが可能となります。

  • 熱伝導率の違い: 水蒸気は、従来のガス焙煎で主流となる「乾燥した熱風」に比べて、熱を伝える能力(熱伝達係数)が非常に高いのが特徴です。
  • 潜熱の利用: 高温の水蒸気がコーヒー豆の表面に触れると、蒸気が液体に戻ろうとする際に大きな熱量(凝縮潜熱)を放出します。これにより、豆の内部まで熱が瞬時に、かつ均一に伝わります。
  • 膨らみの理由: 豆内部の水分が効率よく加熱されて気化し、内部から圧力がかかるため、細胞構造が内側から押し広げられ、ムラなく「ふっくら」と大きく膨らみます。

有用成分(クロロゲン酸)保持の根拠

コーヒーに含まれるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」は、熱に弱く、焙煎が進むにつれて分解されてしまう性質があります。

一方、水素焙煎では上記に挙げたように、ターンダウン比が高いという特性があります。したがって、以下の理屈でクロロゲン酸を保持しつつ焙煎することが可能となります。

  • 短時間焙煎の実現: 前述の「高い熱伝達効率」により、従来のガス焙煎よりも短時間で豆を目標の温度まで到達させることが可能です。
  • 熱ダメージの低減: クロロゲン酸は加熱時間が長くなるほど減少しますが、水素焙煎では芯まで素早く熱が通るため、余計な加熱時間をカットできます。
  • 成分の残存: 必要な「焼き」を入れつつも、過度な熱露出を避けられるため、結果として健康成分であるクロロゲン酸が多く残ります。UCCの研究データでも、従来の焙煎と比較してクロロゲン酸類が多く保持される傾向が示されています。

水素焙煎コーヒーのレビュー

気になるコーヒーの味についても、まとめました。果たしておいしいのでしょうか?

世間の反応

Geminiに聞いて、実際の世間の反応をまとめてもらいました。すると以下のような回答が返ってきました。

  • 雑味が少なく、すっきりして飲みやすいという声が多い。
  • フルーティーで軽い味わいが好印象だという評価がある。
  • 一方、普通のコーヒーと大きな違いは感じないという意見もある。
  • 味の個性が控えめで好みが分かれるという反応がある。

実際に飲んでみた率直な私の感想

水素焙煎コーヒー セブンイレブン

私もセブンイレブンで購入し、実際試してみました。

写真左側の青い容器が水素焙煎コーヒー、右側の白い容器が普通のレギュラーコーヒーです。

ちなみに値段は以下のとおりです。(2026年2月)

  • レギュラーコーヒーM ・・・130円(税込140円)
  • 水素焙煎コーヒーM ・・・149円(税込160円)

参考: セブンカフェ公式ページ

飲み比べてみると明確に味が違い、以下のような点に気づきました。

  • レギュラーコーヒーは苦味や渋みを感じる
  • 一方、水素焙煎コーヒーは飲んだ瞬間がとても軽く滑らかなのどごし
  • 水素焙煎コーヒーは苦味甘味酸味のバランスがよくフルーティーなコーヒー豆の味を保ちつつ、仕上げている

正直、浅煎り派か深煎り派で好みは分かれると思います。

私の場合以下のように飲み分けると良いかなと感じました。

  • 朝の目覚めの一杯や甘い食べ物とのペアリングはレギュラーコーヒー
  • コーヒーのフルーティーさを味わいたい時や単体でソフトドリンクとして飲むなら、すっきりして飽きずに飲み続けられる水素焙煎コーヒー

最後にわたしが感じたこと

セブンイレブンでたまたま見かけて、気になって調べてみて、実際に飲んでも見た私が最後に思ったことは以下のとおりです。

  • 水素焙煎の技術でコーヒーの味を巧みにデザインできる可能性が示唆された
  • また、脱炭素にも貢献できるのは環境負荷低減に良いと言える
  • しかし、水素を生成する際にもCO2を排出していると考えられるため、トータルで見たときのCO2抑制効果を見る必要がある
  • 味に関しては、膨大な量のパラメータ(1度単位、1秒単位のテスト実験)があると考えられるので、膨大な量の試験・試飲が必要 
  • そのため、味については水素焙煎の技術を考えると、まだまだ可能性が広がっている

​まとめ:水素焙煎とは?UCCが特許を得た「美味しさと脱炭素」を両立する新技術

​本記事では、最近セブンイレブンでよく見かける「水素焙煎」について解説しました。​

まとめると、以下のような特徴があります。

  • 焙煎時のCO2生成を抑制でき、脱炭素化に寄与する見込みがある
  • 焙煎時の管理可能な燃焼量領域が広く、コーヒーの酸味と苦みの調整幅が大きい
  • したがって、コーヒーの味を最大限に引き出せる革新的な技術と言える

本記事が少しでも読者様のお役に立てれば幸いです。ご拝読ありがとうございました。

最後に、私たちのブログではフィリピン人彼女と私の国際恋愛模様も発信しています。ご興味あればぜひご覧ください。

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