
本記事では、細谷功さんの著書『13歳から鍛える具体と抽象』を参考に、具体と抽象を行き来することの大切さを解説します。
本記事では以下のような疑問を持っている人に対して、執筆しました。
- 「具体と抽象を行き来する」とはどういう意味ですか?
- 抽象化と具体化の目的・メリットは何ですか?
具体と抽象を行き来することの大切さ
結論、具体と抽象を行き来することは「抽象的なものから、具体的なものを捉えること」と「具体的なものから、抽象的なものを捉えること」を自在に行うことです。
そして、「抽象的なものから、具体的なものを捉えること」と「具体的なものから、抽象的なものを捉えること」を自在に行うことがなぜ大切かと言うと、場面ごとに「具体的にものを捉える方がメリットがある」場合と「抽象的にものを捉える方がメリットがある場合の両方があるからです。
したがって、次に
- 具体的にものを捉えることのメリット
- 抽象的にものを捉えることのメリット
を説明します。
具体的にものを捉えることのメリット

具体的にものを捉えることのメリットは”イメージしやすくなること”です。
”イメージしやすくなること”で、自分にとっても相手にとっても理解しやすい・共感しやすい内容になります。
例えば、私が「フィリピンは家族を重視する文化がある」と言ったとします。おそらく、いまいちピンとこないでしょう。
一方、具体的な場面を想定してみたらどうでしょう?
「私のフィリピン人彼女は毎週末、街から家族のもとへ帰省している。」
「またフィリピンでは、誕生日は家族と親戚一同を集めて、パーティをする。」
「クリスマス・新年も必ず家族と過ごす。」
このように、具体的な場面を想定すると、単に「フィリピンは家族を重視する文化がある」よりも理解しやすいはずです。補足ですが、上記のいずれも事実です。
ちなみに、この「例えば」の話を入れることがすでに、「具体的にものを捉えることのメリット」を「具体的な場面で捉え」ており、理解しやすいものにしています。
抽象的にものを捉えることのメリット

抽象的にものを捉えることのメリットは
- 物事を整理して、シンプルに考えられること
- 物事を比較できること
- 考え方を他分野への汎用できること
だと考えられます。
物事を整理して、シンプルに考えられること
抽象化することで、物事を整理して、シンプルに考えられることができます。
例えば、私は学生時代に数学や化学・物理の方が他科目よりも得意でした。これらの科目を抽象化すると、「理系科目」と捉えることができます。
当時は無意識ながら、「私は理系科目が得意」とシンプルに捉えて、悩むことなく理系の大学に進学しました。
また、物事を整理してシンプルに考えると、暗記量が低減できます。
例えば、英語で「can」「will」「could」「would」などは抽象化すると、「助動詞」に分類されます。英語の助動詞のあとの動詞は原型と決まっています。
すると、「英語の助動詞のあとの動詞は原型」という抽象概念さえ覚えていれば、「can」「will」「could」「would」それぞれの使い方が全てわかります。
物事を比較できること
抽象化は物事を比較したいときに役立ちます。
例えば、何か二つのものを比較するときに、条件をそろえる必要があります。”対照実験”です。
ここでは、具体的に「りんご」と「トマト」を比較しましょう。
りんごとトマトは抽象化すれば、同じ「食べ物」と捉えることができます。
「食べ物」の中で言うと、りんごとトマトは「種がある」、「丸い」という点で同じであり、「野菜⇔果物」という点で異なります。
このように抽象化して「食べ物」という同じ条件でくくることで初めて、りんごとトマトの違いを評価できることになります。
考え方を未知の他分野へ応用できること
物事を抽象化することで、他分野にも当てはまる一般的な考え方を発見できます。
例えば、植物を育てる時の話をイメージしてください。植物を育てる時に、水やりはとても重要です。水をあげないと、植物は枯れてしまいます。しかし、植物に水をやりすぎても植物は枯れてしまいます。
すなわち、植物を育てるには、「適切な」水やりが必要です。
この話を抽象化すると、「物事には最適なバランスがある」と言えそうです。
次に、この考え方を子育てに応用してみましょう。つまり、「子育てには最適なバランスがある」と考えるということです。
すると、子育てにも最適なバランスがあり、手間をかけないと子供は愛情不足で非行に走る一方、手間をかけすぎると自立できない子供になってしまうと考えることができます。
このように、物事を抽象化することで、考え方を未知の他分野への応用することができます。
言い換えると、一つの物事からより多くの情報を学びとることができると言えます。
具体と抽象を行き来で学生時代の勉強を有意義にする

学生時代の勉強が有意義なものにできるかは具体化と抽象化ができるかに強く依存しています。
「学生時代の数学や歴史の勉強は意味がなかった」と思うこともありましたが、これは単に私が具体化と抽象化ができていなかったからのように思います。
細谷功さんの著書『13歳から鍛える具体と抽象』には他にも書かれていましたが、ここでは具体と抽象を行き来することで見えてくる歴史と数学の勉強する意義をご紹介します。
なぜ歴史を学ぶのか?
歴史の個別の年号や出来事を覚えるだけでは、あまり有意義にはならないかもしれません。なぜなら、今時はAIに聞けばなんでも答えてくれるからです。
しかし、その歴史が起こった背景・理由を理解し、特定の歴史的出来事を「人間生活の教訓」として抽象化することができれば、自分の身近な出来事にも応用でき、有意義になると考えます。
例えば、歴史では領土を拡大しすぎて、民衆をうまく統制できなくなり、国が亡びるというパターンがよくあります。
要するに、「管理しなければならない範囲と管理できる範囲に差があった場合に組織が崩壊するということ」です。
この教訓から、入社後、組織としてプロジェクトを行う際に「管理できる範囲で案件を行うことが重要だ」と言う風に考えられるかもしれません。
したがって、歴史の勉強も単に個別の年号や出来事を覚えるだけでなく、特定の歴史的出来事を「人間生活の教訓」として抽象化することができれば、有意義になるのではないかと思います。
なぜ数学で文字式を学ぶのか?
なぜxと文字を置いて計算してきたのでしょう。それはxと置く事で計算を抽象化し、汎用的な計算方法として、個別の計算に応用するためだと考えています。
例えば、(x+5)^2 = x^2+10x+25 という展開式があります。
この抽象化された計算式を使用すれば、x = 6の個別の場合も
11^2 = 6^2+10*6+25 = 36+60+25 = 121
と解くことができます。11^11を筆算する必要なく、暗算できる範囲で解くことができます。
これは一例ですが、数学を学ぶことは抽象的な構造を見抜き、他の問題に転用するための訓練とも言えます。
具体と抽象を行き来で伝わりやすい会話を構成する
会話をする際に、「例えば」で具体的な話をすることで聞き手の理解を促すことができます。
また、逆に要点を整理して伝える際には抽象化をすることで、シンプルに伝えることができます。
このように、聞き手に合わせて具体化と抽象化を操ることが明瞭な会話をするうえで重要と考えられます。
まとめ:具体と抽象を行き来することの大切さ
本記事では、細谷功さんの著書『13歳から鍛える具体と抽象』を参考に、具体と抽象を行き来することの大切さを解説しました。
結論、具体と抽象を行き来することで以下のようなことができます。
- 物事が理解しやすくなる
- 物事を整理して、シンプルに考えられる
- 物事を比較できる
- 考え方を他分野への汎用できる
本記事が少しでも読者様のお役に立てば幸いです。ご拝読ありがとうございました。
