“嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え”を読んで その1~導入~

岸見一郎、古賀史健著

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え [ 岸見一郎 ]
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“嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え”
岸見一郎、古賀史健著

目次

  • 1.前半の要約
  • 2.感想

1.前半の要約

前半は以下の二点について記載されています。

①「原因論」と「目的論」の違い

②課題の分離

本記事では、①「原因論」と「目的論」の違いについて説明します。

①「原因論」と「目的論」の違い

はじめに「原因論」と「目的論」について記載します。

・「原因論」とは?

→生じた「結果」にはそれを引き起こした何かしらの「原因」があるという考え方。

例えば、家に引きこもっている人を想像しましょう。

その人が家から出たくなったのは、いじめられた経験があり、外にでるのが怖いからかもしれませんし、恋人と別れて外に出る気力がなくなったのかもしれません。

ほかにも理由はあると思いますが、いずれにしても、過去に体験した何かしらの「原因」があるから、「結果」として引きこもるという選択をとっていると考えられます。

この考え方が「原因論」です。この考え方はオーストリアの心理学者であるフロイトが提唱した概念になります。個人的には当たり前と思うくらい自然な考え方だと感じました。

それに対立する形で、アドラーは「目的論」を唱えています。

・「目的論」とは?

→生じた「結果」というものは、原因がどうであれ、結局その人自身が望んでいる「目的」であるという考え方。

先の例ではなすと、引きこもっている当事者は「引きこもっている状態」、もっと詳しく言うと「引きこもった結果、周囲の気を引いたり、心配されたり、なにもしないことを容認される状態」でいることを望んでいるという考え方です。過去の経験からくる「原因」はあれど、現在その人が引きこもっているのは「引きこもっている状態」を維持するという目的を達成したいという思想が念頭にあります。その手段として「引きこもる」という行動を選択しているのだとアドラーは考えています。

まとめると、原因論と目的論の違いは以下のようになります。

・現在の思想・性格・ものの捉え方は過去の経験から培われるという考えが原因論。

・現在の思想・性格・ものの捉え方は過去の経験が大きく影響しているものの、結局は自身の目的を達成するために選択した結果であるという考え方が目的論。

ここでアドラーがなぜ目的論を主張しているのかを以下に記載します。

・アドラーが目的論を主張する理由

・先に説明した原因論では自身の思想・性格・ものの捉え方には過去の原因があるとしております。

一方、アドラーはたしかに原因があることは否定していないものの、原因を理解するだけでは「自分が望む自由な生き方はできない」と言います。なぜなら、その原因には自身の主体的な意思は介在していないからです。

続けて、アドラーは各個人は自身で思想・性格・ものの捉え方を「選択」しているのだから、その人が望めば如何様にも後天的に変えることができると捉えています。

・「変わりたい」のに「変われない」人の正体

・アドラーの「目的論」の考え方で言うと、本当に「変わりたい」と思ってるのに「変わることができない」人もいるだろうという反論がでてきます。

結論から言うとアドラーはそれすらも自分で「選択」していると言います。

私の友人によく彼氏の不満を言い続け、別れたいとは言うものの、ずっと付き合い続けている人がいます。その人は別れて、現状から「変わりたい」と言っていますが、職場が同じだから別れることができず、「変われない」のだと言います。

この状態をアドラーの「目的論」に照らし合わせて考えてみます。

まず、彼氏に不満があり、別れたいけど別れていない状況を考えます。この状況では、日々彼氏への不満が蓄積され、当事者は疲労していきます。

一方、別れる決断をしたとします。そうすると、現状を変えることはできます。しかしながら、今までとは異なる生活に変わるため、どうしても未来への不安が付きまといます。この先のパートナーの心配、仕事の心配、お金の心配、不安は多岐のケースに別れると思います。

その現状の「不満」と未来への「不安」を天秤にかけた結果、「不満」はあるものの「不安」を抱えない現状維持を選択しているのだというのです。

アドラーはその不安に打ち勝ち、変わることを選択するには「勇気」が必要だといいます。その「勇気」については次回の記事で解説しようと思います。

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2.感想

・原因論、目的論のどちらが正しいということはないと思いましたが、どちらか片方だけで事柄を捉えるのは不十分な気がしました。

例えば、他者との関係を考えます。

他者との深い関係を構築するためには、自分の性格や他者の性格を理解することが重要だと思います。その性格を理解するには過去にどういう経験を経て、どのような考え方を養ったのかを考えることが有効だと私は思います。原因論的な過去の経験にフォーカスする考え方です。

一方で、他者との深い関係を望むならば、その性格を理解した上で、「自分」がどう変わるのかを選択することも重要だと思います。「自分は内向的で言いたいことがうまく言えない。他方、相手は社交的で思ったことをすぐに口にできる。だから、相手ともっと親しくなりたいけど、自分たちはお互いのことをわかりあえない、うまくいかない。」と捉えるのではなく、「自分は内向的だけれども、メールなら相手に伝えたいことを伝えられる。だから、言いたいことがあるときはメールを使うようにしよう。」という目的論的な考え方も重要だと感じました。

読んでくださった皆さんも、もし詳細に読みたいと感じれば是非読んでみてください。

各々で解釈も異なると思いますし、私の解釈が的はずれである可能性もあります。そのため、興味があれば自分で読んでみることを僭越ながらおすすめいたします。

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